日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
人間ドックへの経鼻内視鏡検査導入後の胃癌発見率に関する検討
田中 志乃花田 梢足立 経一
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2013 年 51 巻 3 号 p. 355-362

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抄録

平成8年度から平成22年度までの15年間の人間ドックでの上部消化管検査の成績を基に, 経鼻内視鏡検査の導入によって胃癌の発見率に変化がみられるか否かを検討した。平成16年の経鼻内視鏡検査導入後より, 経鼻内視鏡検査選択率は年々上昇し, 平成22年度には67.5%となっていた。経鼻内視鏡検査での鼻出血率は6.8%で, 重篤な偶発症は認めなかった。また, 経鼻内視鏡検査断念率は1.6%であった。経口内視鏡検査による胃癌発見率は0.258%, 経鼻内視鏡検査は0.225%であり, 両者間に有意差はなかった。発見胃癌の部位, 肉眼型, 組織型, 深達度, 治療法, 偽陰性率においても経口内視鏡検査と経鼻内視鏡検査で有意な差を認めなかった。経鼻内視鏡検査導入前8年間の総受診者における胃癌発見率は0.180%, 導入後の7年間は0.213%と増加傾向を認めており, 経鼻内視鏡検査の選択率の上昇が影響していると考えられた。

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© 2013 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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