日本消化器がん検診学会雑誌
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会長講演
消化器がん検診の新機軸:根治可能膵がんの確実な診断を目指して
田中 幸子
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2014 年 52 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

膵癌による死亡者数は近年増加し2011年には5番目に多い癌であった。長期予後を改善するには無症状期の早期癌の診断が必須であるが, 小膵癌の検出には詳細な検査が必要であり, 一般健常者を対象としたスクリーニングは非効率的である。1)高危険群(主膵管拡張, 膵嚢胞)の検出, 2)高危険群に対する厳重な経過観察, 3)適切な精査による確実な診断, といった3段階からなる早期診断システムを提案する。大阪府立成人病センターでは上記の方式を1998年より実施し, 2011年までに診断された膵癌は切除率:74%, Stage0, IAないしIB(NICC分類):67%, 累積5年生存率:54.6%と好成績であった。将来的には, 膵癌も“超早期に発見, 局所低侵襲治療で根治”となることを期待する。

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© 2014 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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