日本消化器がん検診学会雑誌
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この症例に学ぶ
胃検診を契機に発見された嚢胞変性を伴う膵神経内分泌腫瘍の1例
岡庭 信司岩下 和広平栗 学伊藤 信夫
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2014 年 52 巻 2 号 p. 247-252

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抄録

症例は76才, 男性。胃検診で胃体上部後壁の隆起性病変を指摘され精査を目的に当院を受診した。上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁に壁外性圧排像を認めた。腹部超音波検査では膵体部に不整な嚢胞壁を有する嚢胞性病変を認め, パワードプラで壁内に血流シグナルを認めた。腹部CTで嚢胞性病変の壁は膵臓と同程度の造影効果を認めた。超音波内視鏡検査では不整な壁構造を伴う嚢胞性病変であり, 背側に腫大したリンパ節を認めた。腫瘍マーカーや内分泌ホルモンに異常を認めなかった。以上より, リンパ節転移を伴う非機能性神経内分泌腫瘍の嚢胞変性と診断し, 膵体尾部脾合併切除術を施行した。腫瘍は径40mmの境界明瞭な充実性腫瘍であり嚢胞変性を伴っていた。免疫染色で腫瘍細胞はクロモグラニンAとシナプトフィジンが陽性であったことから神経内分泌腫瘍と診断した。嚢胞壁の不整な肥厚と多血性は, 嚢胞変性を伴う神経内分泌腫瘍と通常の嚢胞性病変との鑑別に有用である。

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© 2014 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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