抄録
「腹部超音波検診判定マニュアル」による腹部超音波がん検診を評価する上での問題点を文献的に考察した。すなわち, 受診者の数え方は, のべ人数に加え, 初回受診者での集計も行うべきである。発見がんには, 対象臓器原発のがんに加え, 対象臓器以外のがんや, その肝転移, リンパ節転移, がん性腹膜炎を含めるべきである。偽陰性がんは, 腹部超音波検診で異常なし(判定区分A)または軽度異常(判定区分B)とされた例が1年以内にがんと診断された例と定義する。偽陰性がんは, 地域がん登録を利用すれば把握可能である。発見がんの病期分類や治療効果の記載には, 地域がん登録で用いられている記載項目が有用である。生存期間, 生存率も地域がん登録から求めることが可能である。今後は, 偶発症などの不利益についても集計を行い受診者に説明する。将来的には, がん検診の有効性評価の直接的証拠である死亡率や死亡数の減少を証明することが目標となる。