2015 年 53 巻 3 号 p. 376-382
平成16~21年度に前橋市胃がん個別検診で発見された胃がん522例(X線検診121例, 胃内視鏡検診401例)を群馬県がん登録資料から平成24年12月31日時点まで追跡して, 両検診発見胃がんの発見時点を起点とした5年相対生存率を比較検討した。全発見胃がんの5年相対生存率は, X線群が79.1%, 内視鏡群が92.0%で内視鏡群が有意に高く, 初回受診発見胃がんを除く199例(X線検診69例, 胃内視鏡検診130例)の5年相対生存率は, X線群が81.0%, 内視鏡群が105.3%でさらにその差は拡がっていた。Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では検診方法と発見時の年齢が予後に関係する因子であった。内視鏡検診は直接X線検診よりも発見胃がん症例の死亡リスクを下げる有用な胃がん検診法であると考えられた。