日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
原著
ヘリコバクター・ピロリ感染者における慢性萎縮性胃炎の進展に及ぼす因子─摂取栄養素分析による検討─
瀬古 千佳子松井 大輔松川 泰子小山 晃英渡邉 功尾崎 悦子栗山 長門水野 成人渡邊 能行
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 54 巻 1 号 p. 30-41

詳細
抄録

ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染は胃がんの確実な発がん因子である。H. pylori感染から慢性萎縮性胃炎への進展過程における摂取食品との関連については多くの先行研究が行われているが, 栄養素摂取量との関連についての報告は少ない。そこで, 本研究はH. pylori感染者における慢性萎縮性胃炎陽性者と陰性者の栄養素摂取量の差異を検討した。対象者は京都在住の35歳から69歳までの健診参加者4,330人のうちH. pylori感染陽性者1,251人とした。解析対象者はこの内の栄養素摂取量算出を完了した女性296人とした。年齢, 喫煙, ビタミン剤服用, エネルギーによる補正を行い, 各栄養素摂取量を三分位に分けてロジスティック回帰分析を行った結果, カルシウムの中等量摂取, 多量摂取, 及び多価不飽和脂肪酸の中等量摂取は有意に慢性萎縮性胃炎のリスクを低めていた。これにより, これらの栄養素が慢性萎縮性胃炎進展の抑制と関連している可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top