日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
宮城県の対策型胃がん検診の実情と課題
加藤 勝章千葉 隆士島田 剛延渋谷 大助
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2016 年 54 巻 2 号 p. 230-241

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抄録

宮城県の住民検診は主に宮城県対がん協会が担っており年間約18万人が受診している。当協会は1次検診と精密検査の計画と実施, 精検結果の把握, 自治体への報告までを一括管理する宮城方式と呼ばれる精度管理体系をとっている。特に, 精検未検者対策には力を入れており, 精検受診率は95%と高水準を維持している。高濃度低粘稠バリウムやデジタル撮影装置の導入によりX線画像の質も向上しており, がん発見率は0.2%で推移しているが, 要精検率は6.7%にまで低下し, 陽性反応的中度は3.1%に向上した。早期癌発見率も78.9%である。平成26年度胃集検より, H.pylori感染に配慮した新たな読影区分を導入し, 胃炎・萎縮の無いH.pylori未感染相当胃を“異常なし”と診断して慢性胃炎とは区別している。時代の変遷に応じて胃X線検診も変わらざるを得ないが, 適切な精度管理のもと質の高い検診を提供することが受診者の利益にかなうと考える。

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© 2016 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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