抄録
静岡市では従来の対策型胃がんX線検診に加え, 2012年4月より内視鏡検診を導入した。行政が内視鏡検診導入に積極的であり, これに医師会と公的病院が協力し, スムーズな導入が実現した。開始後3年が経過し, 受診率は7.1%(13,840/194,930人)から10.5%(20,444/195,200人)へと増加した。また2012年度と2013年度を合計した比較では, 胃がん発見率はX線検診の0.06%(17/29,008)に対し, 内視鏡検診では0.18%(19/10,272)と有意に高い結果であった。現在精度管理協議会では胃がん検診だけではなく, 「ピロリ菌感染胃炎検診」を同時に行い, 速やかな除菌治療につなげるべく参加検査医の意識改革を図っている。今後は内視鏡検診を希望する受診者の増加が予想されるが, 内視鏡医の技術向上を含めた精度管理, 内視鏡医の確保が課題といえる。またABC分類を活用した効率の良い検診運用なども課題と考えられる。