日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
太田市胃がん内視鏡検診の現状と課題
江原 浩司関口 利和中野 正美李 雅弘
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2018 年 56 巻 3 号 p. 281-291

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抄録

太田市は1999年から受診者が内視鏡か直接X線撮影を選択する個別検診を開始した。2008年から2013年までHelicobacter pylori抗体と血清ペプシノゲン法を用いるABC分類も行い延べ74,352人の受診で発見率0.53%(397/74352)の胃がん発見があり, 各群ではA群0.19%(62/32352), B群0.51%(102/19945), C群1.03%(187/18148), D群1.17%(46/3934)であった。H.pylori抗体陽性者の発見率は0.76%(289/38093)血清PG法陽性者は1.06%(233/22082)だが見逃し例はH.pylori抗体で27.2%(108/397)血清PG法で41.3%(164/397)でありH.pylori抗体が見逃しは少なくスクリーニングに適し, 特定健診受診者にH.pylori抗体を測定し, 抗体陽性者に内視鏡検診を勧めるピロリ検診を開始した。ABC分類のみでの対象の絞り込みは見逃しのリスクが高いと考えられ, 内視鏡でH.pylori感染胃炎の判定を行い, 効率の良い検診を実施する必要がある。

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© 2018 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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