日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
胃がんリスク層別化検査(ABC分類)受診3─4年後の内視鏡検査受診勧奨は有効か?
尾上 耕治宮﨑 貴浩山田 浩己北村 亨稲倉 琢也新川 仁奈子遠藤 公彦平井 俊範
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2019 年 57 巻 3 号 p. 330-337

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抄録

我々は, 胃がんリスク層別化検査(ABC分類)受診後B, CおよびD群に対して3年目程度を目処に受診勧奨を行うことが望ましいと報告した。今回3年後と4年後の受診勧奨の有効性を評価した。2011年度 ABC分類B, CおよびD判定の345人と2012年度同判定の297人を無作為に内視鏡検査受診勧奨を行う群と受診勧奨しない群に分け, 2015年度に受診勧奨を行った。5年後の追跡調査時に同意が得られた2011年度受診者147人, 2012年度受診者122人を対象に, 受診勧奨後の内視鏡検査受診率を検討した。勧奨群と非勧奨群の受診率は各々46.2%(91/197)と39.7%(77/194)で有意差はなかった。B, CおよびD群別でも, 勧奨群と非勧奨群の受診率すべて有意差はなかった。よって, ABC分類受診3年および4年後の内視鏡検査受診勧奨の有効性は低いことが示唆された。結論として, ABC分類受診後, B, CおよびD判定者に精密検査として内視鏡検査を勧め, 初回だけ追跡調査と受診勧奨を行うという方針がよいと考えた。

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© 2019 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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