2019 年 57 巻 3 号 p. 345-355
将来の胃がん死亡減少を目的に, A市・A市医師会・検診機関である岩手県対がん協会の三者で, ピロリ菌検査を平成27年度から5年間実施する。対象はA市在住の20歳から40歳まで5歳ごとの年齢で便中H. pylori抗原検査を用いた。同検査受診率は平成27年度43.2%, 28年度39.8%で, 平成27年度H. pylori抗原陽性者の精検受診率は81.2%, 除菌成功者は98.5%であった。また, ピロリ菌検査とA市の対策型胃がん検診の重複受診者263例を対象に胃X線画像で萎縮の有無を検討したところ, 両者の結果が乖離した例は27例(10.3%)であった。便中H. pylori抗原陽性でX線上萎縮なしが3例(11.1%), 便中H. pylori抗原陰性でX線上萎縮ありが24例(88.9%)であり, ピロリ菌検査受診者も一度は画像により萎縮の有無を判定すべきと考えられた。