2019 年 57 巻 3 号 p. 356-366
大腸CT検査における腸管洗浄剤を使用しない前処置Dry変法の妥当性について764名を対象に検討した。診断精度と精度管理指標として検査陽性者の精検受診率, 陽性反応的中度, 検査不良率で評価した。腸管前処置の状態として残渣の形状と量(残渣なし0点~多い3点)およびタギングの質(CT値)で評価した。診断精度と精度管理指標の結果は精検受診率が70.5%, 受診者別陽性反応的中度は64.1%, 検査不良率は3.7%であった。追跡可能症例に限ってみた場合の参考値としての精検受診率は90.2%, 陽性反応的中度は90.9%であった。全大腸における残渣は, 固形残渣量3点が10.5%, 液体残渣量3点が4.5%, 残渣全体の平均CT値は617.2HUとタギングは良好であった。大腸CT検査は腸管洗浄剤を使用しなくても精度高く施行することが可能ではあるが, 固形残渣の比率が増えるため読影の難易度が高くなる点に注意が必要である。