2020 年 58 巻 2 号 p. 62-72
Helicobacter pylori(H. pylori)感染と胃癌をはじめとする胃・十二指腸疾患との関連についてはこれまでの多くの研究により明らかとなっている。著者は1994年から広島大学において「H. pylori感染と胃・十二指腸疾患の発生」に関する研究,臨床では消化性潰瘍・胃炎に対する除菌治療を比較的早期から開始した。なかでも組織学的胃炎に着眼し,萎縮性胃炎,腸上皮化生,鳥肌胃炎などと胃癌発生について研究を行い,著者の携わっている今日の胃がん検診にも役立てている。
2002年からは川崎医科大学と岡山県健康づくり財団との共同研究が開始され,対策型胃がん検診において胃X線検査によるH. pylori胃炎診断を新たに導入し,効率の良い胃癌発見に成果を上げた。また,近年では胃内視鏡所見からH. pylori感染状態を診断する時代となり,2014年「胃炎の京都分類」が発刊され,内視鏡検診における胃炎診断と胃がんリスク評価にさらなる光をもたらしている。