2025 年 63 巻 6 号 p. 1026-1035
本稿は第62回日本消化器がん検診学会大会(JDDW2024)における理事長講演を基に, 本学会の新たな取り組みの紹介と, 消化器がん検診の課題とその対応についての私見を纏めたものである。消化器がん検診学は, 検診を実施する臨床医学, 新たながん検診に資するためのバイオマーカーの開発などに挑む基礎医学だけでなく, 地域にて実施される検診体制の構築ならびにその精度管理などの社会医学の分野も包含しており, この社会医学的要素は消化器がん検診学が他の消化器関連医学と様相を異にする点であり, かつ学問的体系として重要な視点であると考えられる。この社会医学をも包含する消化器がん検診学における研究の推進・発展に寄与すべく, 日本消化器がん検診学会は新たにがん検診情報・研究推進室を設置し, 学会員が実施する研究に対してのアドバイスなどを実施している。また, 対策型検診の対象となっているにも拘らず, 胃がんに比べ粗死亡率および年齢調整死亡率の年次推移において顕著な減少傾向が認められない大腸がんに対する検診の課題と学会が取るべきその対応策についての私見も紹介する。