膵癌は早期診断が困難で5年生存率は低率である。また対策型検診が整備されておらず, 標準的なスクリーニング法が確立されていない。一方, 日本膵臓学会から2006年に膵癌診療ガイドラインが発刊され, 膵癌の危険因子が発出された。近年, 一部の地域から危険因子に着目し, 地域医療圏で様々な連携体制を整えた膵癌早期診断プロジェクトが実施されており, 早期診断例の増加, 外科的切除率の改善, 5年生存率の改善などが報告されている。今後, 国内での膵癌早期診断を達成するには, 危険因子に着目した“膵癌検診”の社会実装化に向けた検討が必要不可欠であるが, 診断に繋がる真の危険因子(糖尿病, 家族歴, 慢性膵炎, 膵管乳頭粘液性腫瘍, 喫煙など)の遡求, 腹部超音波での膵管拡張・狭窄, 膵嚢胞, CTでの限局的膵萎縮など間接所見および診断契機因子所見の理解, 超音波内視鏡(EUS), 十二指腸鏡などを用いた微小膵癌の確定病理診断法, 間接所見を有する場合の経過観察法の確立, 検診社会実装化に向けた新規腫瘍マーカーの開発, 上部消化管内視鏡を施行中に併用可能な, 十二指腸液中の蛋白, 遺伝子異常に着目したキット化に向けた研究の進捗などが期待される。