本邦では1992年に免疫便潜血検査による対策型大腸がん検診が導入されたものの, 大腸癌死亡数・罹患数はいまだに多く, 大腸がん検診には多くの課題が残されている。特に, 組織型検診を目指すうえで, 国レベルでのデータ管理の整備は喫緊の課題である。本邦における大腸がん検診向上を考えるに際して, 本邦の研究結果, データに基づいた議論が不可欠である。そこで, 本稿では, 本邦の研究結果を踏まえ, 大腸がん検診における適切な検診モダリティーについて議論した。免疫便潜血検査による検診は, 非侵襲的で有効な検診法だが, その診断精度や中間期癌のデータから, 特に右側大腸腫瘍の検出に限界を有することが示唆される。このような免疫便潜血検査の限界を補うため, 全大腸内視鏡検査のさらなる活用について議論の余地がある。スクリーニング全大腸内視鏡検査による検診は高い有効性と医療経済性が期待されるものの, 受容性や質の担保などの課題がある。今後, リスク層別検診を含め, 免疫便潜血検査と全大腸内視鏡検査を適切に組み合わせた検診法の確立が望まれる。