日本消化器集団検診学会雑誌
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経過を追えた大腸癌の一例
村上 晶彦三浦 達也池端 敦小野 満
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2000 年 38 巻 4 号 p. 538-541

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抄録
10カ月前の注腸検査で病変をチェック出来ず, 進行癌として診断された症例を経験したので報告する。症例は54歳女性。平成9年4月日大腸癌検診の便潜血反応陽性にて当科受診。S状結腸ファイバーと注腸検査を施行。肛門輪より5cmにIsp型のポリープを認めたが, 注腸検査では異常を指摘できなかった。5月日内視鏡的ポリペクトミーを行った。4×4×5mmであり, 病理所見は, serrated adenomaであった。その後, 平成10年2月日, 右下腹部痛にて外来受診。同部に腫瘤を触知し, 2月日注腸検査にて盲腸部に陰影欠損を認め, 3月日入院となった。平成10年3月日の大腸内視鏡検査にて, 盲腸部にB-3型の腫瘍を認めた。生検診断はwell differenciated adenocarcinomaであり, 平成10年3月日手術を施行。回盲部切除+大網切除+両側卵巣切除を施行。手術所見は, SE, N2, P2, Ho, Stage IV (D2, CurA) 盲腸部に3.5×4.2cm大のB-3型の腫瘍を認め, No201のリンパ節の腫大, 大網に2cm大の腫瘍あり, 転移であった。病理所見はCarcinoma of the colon with metastasis in the lymphanode and peritoneum, well differenciated adenocarcinoma, se, ly1, v1, ew (-), aw (-), n2 (+) 2012/3.peritoneum: metastasis of the colonic carcinoma, bilateral ovary: no malignancyであった。初回の注腸検査にて病変を指摘できず, 診断時から遡って, X線像を観察しえたので報告する。
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