2004 年 42 巻 4 号 p. 418-432
スクリーニング発見大腸癌と外来発見大腸癌を比較し, 検診対象年齢について検討を行った。宮城県がん登録を用いて1993~99年に診断された大腸の悪性腫瘍12114名を把握し, ここから死亡票のみで登録された症例・carcinoma以外の症例・粘膜内癌症例・診断年月不明の症例・診断契機不明の症例を除いた7514名を対象とした。この7514名を男女別・5歳階級別に分け, スクリーニング群1522名と外来群5992名の手術施行状況・進行度・予後を比較した。男女とも40~70歳代では, スクリーニング群の予後は外来群より有意に良好で, 検診の有効性が示唆された。80歳以上ではそれが不確かで, 特に85 歳以上では両群の予後に差を認めず, 検診が生存期間の延長に寄与していない可能性が示唆された。しかし, 80歳以上では症例数が少なく, 更なる検討が必要と思われた。