2024 年 42 巻 2 号 p. 189-196
概要:子宮頸部多発嚢胞性病変における胃型腺癌の術前診断は困難とされる.HIK1083を用い頸管粘液検査を施行した123症例を対象に胃型腺癌の術前診断の可能性を検討した.胃型粘液産生病変は19例でHIK1083検査陽性率は63.1%であった.悪性腫瘍は19例中7例[minimal deviation adenocarcinoma 4例,adenocarcinoma, HPV-independent, gastric type 2例,adenocarcinoma in situ, gastric type 1例],良性病変はlobular endocervical glandular hyperplasia 12例であった.単変量解析では胃型粘液産生病変における良悪性を鑑別する有意な因子は細胞診所見における黄色調粘液とMRI所見の拡散低下であった.多変量解析ではHIK 1083検査陽性,黄色調粘液所見,拡散低下が胃型腺癌をスクリーニングする有意な因子であった.子宮頸部多発嚢胞病変の術前診断において,HIK1083検査陽性,黄色調粘液所見,拡散低下の組み合わせが胃型腺癌を示唆する可能性が示された.