日本婦人科腫瘍学会雑誌
Online ISSN : 2436-8156
Print ISSN : 1347-8559
症例報告
子宮頸部腺癌照射野内再発に対して骨盤除臓術を実施した2症例
加藤 雅也奥村 俊之氏平 崇文
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 42 巻 2 号 p. 228-233

詳細
抄録

概要:骨盤除臓術は子宮頸癌照射野内の中央再発に対する治療法の1つであるが,手術侵襲が大きく合併症頻度も高いことから十分なインフォームドコンセントと適応症例の選択が重要である.再発子宮頸部腺癌に骨盤除臓術を実施し,異なる経過を辿った2症例を経験したため報告する.

症例1は子宮頸部腺癌IIA2期,同時化学放射線療法後11カ月で子宮頸部に再発を認めた.化学療法を行ったがSDで骨盤除臓術を実施した.術後腸閉塞など多数の合併症を認め術後50日まで入院を要した.病理組織診断で切除断端近傍まで腫瘍細胞が散在していた為,切除断端陽性と診断した.症例2は子宮頸部腺癌IB1期,広汎子宮全摘術後1年10カ月で腟断端再発を認めた.同時化学放射線療法と化学療法で腫瘍の縮小・再発を繰り返し,3度目の再発で腹腔鏡下骨盤除臓術を実施した.腸閉塞で術後40日まで入院を要した.切除断端陰性であったが,術後5カ月で骨盤内に播種性病変を認め再発と診断した.

腟壁浸潤治療後の骨盤除臓術では,顕微鏡的な腫瘍残存も考慮した切除範囲の決定が重要である.頸部腺癌は除臓術後に腹膜播種の再発様式をとることが多く,腫瘍細胞を飛散させない手術手技の徹底が重要である.

著者関連情報
© 2024 日本婦人科腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top