2009 年 43 巻 4 号 p. 13-21
本論文では,近代以降の西洋絵画を中心とした絵画の視覚的特徴に着目した分析,およびそれに基づいた視覚対象モデルのパラメータ変換による絵画風画像生成手法について示す.近代以降に登場した印象派やキュビスム,抽象絵画などといった絵画スタイルは描画対象の色彩的な特徴や形態的な特徴などの表現に大きく重点が置かれている.このような特定の特徴に着目して強調したり,逆に故意に欠損させたりする近代絵画の表現は,脳内における視覚情報処理過程と密接な関係を見出すことができる.そこで本研究では,視覚情報処理過程として考えられている形態視・空間視・色彩視の視覚情報処理モジュールをパラメータとして導入し,絵画の視覚的特徴分析を行う.さらにこの分析により分類した視覚特徴の表現をもつ絵画風画像を描画する手法,および3次元モデルを用いた視覚パラメータによる絵画風画像生成システムを提案する.