図学研究
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研究論文
南ドイツにおける透視図法の展開(1)
――16世紀のクラフツマンによるテキストブックの考察――
奈尾 信英
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2011 年 45 巻 2 号 p. 19-28

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抄録

ドイツ語圏における透視図法の黎明は,16世紀の南ドイツで活躍したクラフツマンたちの功績まで遡ることができる.15世紀のイタリアで芸術家や建築家により用いられた透視図法は,A. デューラー没後,南ドイツで活躍したクラフツマンたち,すなわちH. ロドラー,E. シェーン,A. ヒルシュフォーゲル,W. H. リッフ,H. S. ベーハム,H. ラウテンザック,H. レンカー,そしてP. プフィンツィンクに受け継がれ,彼らは,各々1531年から1599年にかけて透視図法に関するテキストブックを出版した.本研究では,16世紀にクラフツマンたちにより著されたテキストブックを分析対象とし,彼らが示した透視図法について具体的に考察する.H. ロドラーやE. シェーンの著作では,建物の内部空間を描くための透視図法が示されていたが,それ以降では,W. H. リッフ以外,空間を描くことよりも立体そのものを描き出すことに関心が移っている.なぜなら,彼らは立体が複雑に組み合わされた形態を空間図形として画面に表現することを探求したからである.16世紀の南ドイツにおいて,クラフツマンたちの功績があったからこそ,その後のアルプス以北のドイツ語圏に特有の透視図法が展開していくのである.

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© 2011 日本図学会
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