本研究は基礎造形教育の教育効果の向上に資することを目的とし,デザイン系専門学校の基礎造形科目のうち,立体構成で行った3 課題について具体的な教育事例を報告する.そして,学生が各課題終了後に記述した制作プロセスに対する自由記述による自己評価書を対象に,各課題の成績を踏まえて分析する.これにより,基礎造形教育の実態とデザイン初学者の習得プロセスに対する問題点を明らかにし,指導上の改善策や工夫点について言及する.課題の分析を通じて,デザイン初学者を対象とした基礎造形教育では,素材の特性と加工方法,材質に適した接着剤の選定ついて,あらかじめ予備知識が持てるような取り組みを行う必要があることがわかった.これにより,デザイン初学者は,制作の前段階でイメージした形をスムーズに形づくることができ,加えて,課題のテーマにより焦点をあてて制作をすすめることができると考えられる.