図学研究
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ベン・シャーンの「赤い階段」
小山 清男
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2006 年 40 巻 Supplement1 号 p. 133-138

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抄録

社会主義レアリスムの画家ベン・シャーンは, 第2次大戦末期に「赤い階段」と題する作品を描いている.戦災によって瓦礫と化した荒涼たる空間, そこに崩れ残った外壁とそれに沿う赤い階段, それを昇ろうとする片脚の松葉杖の男, さらに地底から立ち上る白衣の人物, その画面は1点透視を基本として構成されている.ルネサンスの画家たちの多くは, 1点透視によって空間を限定して室内の情景を描いたが, ベン・シャーンはそれとは違って, 壁と階段を広漠たる空間の中に1点透視で描くことによって, 空虚な戦争の負のモニュマンを描出しようとしたように思われる.

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