2005年4月の個人情報保護関連5法の全面施行により,医療機関もこれらの法律に基づいて個人情報を取扱うこととなったが,個人情報の取扱いにあたりどのような措置を講じるかは医療機関ごとの取組みによるところが大きい。そこで,医療機関の個人情報の利活用および保護に関する体制整備の現状を明らかにすることを目的として,全国の自治体病院の個人情報保護業務の担当(取りまとめ)部署への質問紙調査を行った。調査結果から,患者の個人情報保護に係る業務を担当する職員数は,「職員が適宜対応している」と回答した施設が中小病院および大病院ともに4割を超えるなど大きな違いはないが,患者の医療情報をコンピュータネットワークシステムの利用により他の施設や研究会等へ報告しているかどうかの質問に対し,中小病院では「行っていない」と回答した施設が6割を超える一方,大病院では「行っている」と回答した施設が6割近くを占めた。コンピュータネットワークシステムを利用した個人情報の利用に関しては自治体病院の規模による状況の違いが大きく表れていることが明らかになった。