間欠治療である血液透析において,治療時間は様々なところに影響を及ぼす.1970年代に米国で行われた大規模な前向き介入試験で治療時間の長さは有意な予後因子でなかったため,クリアランスを上げて治療時間を短くするという方針が正当化されてきた.しかし,尿毒素によっては体内コンパートメント間の移動抵抗が大きく,時間をかけないと十分な除去ができない.リンや中分子がこれに該当する.透析低血圧のリスクを避けて細胞外液量を正常化するにも時間は長い方が有利であり,良い生命予後と関連する.同じ値のKt/Vであっても,時間(t)を大きくして達成されることが重要であり,時間とKt/Vは死亡リスク減少と相乗的な関連を認める.しかし,透析患者の治療に対する要望や優先事項の調査では,逆に「透析時間を短くしてほしい」が予想外に多かった.血液透析は透析患者にとっては「完全義務」であるのに対し,血液透析自体は「不完全な治療」であることの非対称構造を考えると,相互理解が求められる.それは正解のないゴールを求めることに似て,話し合う過程が目的となりうる.