抄録
医療・医学・社会福祉の分野において、サービス提供者側のパターナリスティックな体制への批判がなされるようになって久しい。障害者運動や障害学では、障害の社会モデルをとり、障害者自身が生活の所有者でありすべての決定権をもつという前提が強く押し出されてきた。この社会モデルは徐々に市民権を得て、現在はそれが通常のこととみなされるものではあるが、後者のモデルをとった場合にも軋轢が生じ、また障害当事者も必ずしも一方的な指示関係が好ましいとは感じていないことが調査結果から明らかになっている。本稿では要援護者のプロジェクトを例として、障害当事者と支援者が対峙する関係ではなく、共通の目標に向かって協働するカウンターパートとしての関係を築くことの可能性について検討した。このカウンターパートとしての関係が当事者性、支援者の専門性を互いに尊重し、互いに好ましい相手であるために必要なことではないかと考えられた。