保健医療社会学論集
Online ISSN : 2189-8642
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特集 保健医療におけるコミュニケーション研究の現在――患者・医師関係研究を踏まえて/超えて
乳がん患者のナラティブが受け手の健康行動に与える影響の検討
ディペックス・ジャパンのインタビューデータを用いて
岡田 宏子 奥原 剛
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2016 年 27 巻 1 号 p. 12-17

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抄録

がん経験者によるナラティブはがん検診の受診促進に有効であるとされている。しかし、その情報としての性質については明確でない。本研究の目的は、同じく乳がん検診の受診を促す介入に有効であるとされている「ヘルスビリーフモデル」を用いて、乳がん経験者のナラティブを分析し、その性質を探ることである。ディペックス・ジャパンにより聴取された乳がん患者18名分のインタビューデータを用いて内容分析を行った。特定人口のリスク認知、早期発見による医療的メリットについて60%程度の人が語り、障害の認知として症状の軽視について約半数が語った。乳がん患者のナラティブには、ヘルスビリーフモデルの枠組みに該当する性質をもつメッセージが多数含まれており、検診受診行動の促進に有効である可能性が示唆された。

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© 2016 日本保健医療社会学会
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