抄録
Hereditary breast and ovarian cancer (HBOC)は全乳癌の約3-5%を占めるとされ,一次スクリーニングで積極的に症例の拾い上げを行い,遺伝カウンセリング,遺伝学的検査につなげていくことが重要である.2017年6月から2017年11月までに当院乳腺内分泌外科を受診した全症例に, 当院遺伝診療部で作製した「遺伝性のがんに関する問診票」に記載してもらい, the National Comprehensive Cancer Network (NCCN) ガイドラインの乳癌および卵巣癌における遺伝学的/ 家族性リスク評価2018年版に則って該当する項目数をスコア数としたスコア化を行った.また,問診票内には遺伝への関心を問う質問も設けてスコアとの関連性を検討した.対象症例502例中,スコア1以上となった症例は125例(24.9%)であった.併せて行った遺伝への関心を問う質問では,スコアの高さと遺伝への関心に相関はなく,未だ一般の方のHBOCに関する認識が低いことが示唆された.今後は,このスコアに基づき適切な情報提供を行い,遺伝カウンセリングにつなげていく必要があると思われた.