遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
症例報告
ステージⅣ卵巣癌に対するリスク低減乳房切除術の妥当性
甲斐 恭平大塚 翔子藤田 裕子谷口 真紀伊藤 絢子三木 利恵井上 豊子永谷 たみ中山 朋子田村 和朗
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 22 巻 1 号 p. 26-29

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抄録

 BRCA遺伝子バリアント保持者であり,乳癌治療後9年目に発症したステージⅣの卵巣癌患者からリスク低減乳房切除術(risk-reducing mastectomy;RRM)の希望があった.骨転移を認めたが,PTX/CBDCAに続くPARP阻害薬投与により病勢が安定していたことより,合同カンファレンスで同治療を認めた.RRMは乳癌発症のリスクを低減するが,卵巣癌の予後が不良なことにより適応については慎重な意見が多い.しかし,PARP阻害薬の登場により近年の卵巣癌の予後は著明に改善し,これに見合った医療を提供する必要が出てきた.卵巣癌の治療を継続しつつRRMを並行して行うことも可能である.無増悪の状態を判断し適切な時期にRRMを提案することが必要である.

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© 2022 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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