DICER1症候群は、胸膜肺芽腫をはじめ、嚢胞性腎腫、結節性甲状腺腫、甲状腺癌、卵巣セルトリ・ライディッヒ腫瘍、子宮頸部の横紋筋肉腫、まれな脳腫瘍などさまざまな臓器に及ぶ腫瘍の発症に関連する疾患である。小児期からの遺伝学的検査とサーベイランスが推奨される遺伝性腫瘍の1つであり、欧米ではその指針や提言がまとめられている。頻度は高くはないが、がんゲノム医療の普及による関心の高まりや、近年あらたにDICER1関連腫瘍と認識される病型も増えていることから、本邦でも本疾患の鑑別や診療にあたる機会は増えつつある。本稿では、DICER1症候群の遺伝学的検査やサーベイランスを中心に解説する。