2023 年 23 巻 1 号 p. 6-11
本邦でも,PARP阻害薬の登場や乳癌と卵巣癌罹患者へのBRCA1/2遺伝医療の一部保険収載により,BRCA病的バリアント保持者に対する遺伝診療が増加している.一方,欧米では多遺伝子パネル検査が遺伝学的検査の主流となっており,幅広い遺伝性腫瘍症候群の診断と遺伝医療が開始されている.このような背景のなか,hereditary breast and ovarian cancer syndrome (HBOC)診療の次の一歩として,目的,対象,遺伝子,リスク管理,教育の5点の拡大について,欧米のエビデンスと共に,本邦でも目指すべきHBOC遺伝診療と課題について述べる.