遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
原著
当院での遺伝性乳癌卵巣癌女性に対するリスク低減卵管卵巣摘出術の現状
横山 史織志鎌 あゆみ須藤 麻実小林 佑介有田 美和野口 恵美子佐藤 豊実
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 24 巻 3 号 p. 167-172

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抄録

 【目的】筑波大学附属病院(以下,当院)における遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)女性に対するリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)の現状把握を目的として調査を行った.【方法】2018年4月~2023年12月に当院にてRRSOを行ったHBOC女性37名を対象に,臨床情報を後方視的に調査した.【結果】37名中,19名がBRCA1,18名がBRCA2の病的バリアント保持者であった.RRSO施行時年齢の中央値は50(31~69)歳,36名(97.3%)に乳癌罹患歴があった.漿液性上皮内癌を1名に認めた.フォローアップ期間における腹膜癌の発症はなかった.【結論】当院のHBOC女性に対するRRSOは,ガイドラインの推奨年齢より高い年齢で施行された患者が多かった.RRSO施行年齢が高くなる要因として,HBOC診断年齢が高いこと,RRSO施行までの意思決定の時間があげられ,いずれの因子にも保険診療か否かという経済的負担が関与している可能性が考えられた.

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© 2025 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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