2025 年 24 巻 3 号 p. 173-178
遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診断目的に行うBRCA1/2遺伝学的検査の保険適用条件として,45歳以下の乳癌発症,60歳以下のtriple negative(TN)乳癌,2個以上の原発乳癌,第3度近親者内の乳癌卵巣癌,男性乳癌,卵巣癌腹膜癌の既往があげられる.和歌山県立医科大学附属病院でBRCA1/2遺伝学的検査を行った乳癌症例62例につきこれらの保険適用基準との関連性を後方視的に検討した.45歳以下の乳癌発症,第3度近親者内の乳癌卵巣癌に該当する症例が多く,基準の該当項目数は1~2項目該当が過半数を占めた.各基準に該当する群での病的バリアント検出率はいずれも10%を超えており,保険適用基準は妥当と考えられた.基準の該当項目数が多くなるにつれ,病的バリアント検出率は高くなる傾向がみられた.よって,複数の基準に該当する場合は積極的にBRCA1/2遺伝学的検査を勧めるべきだと考える.