2025 年 24 巻 3 号 p. 191-196
症例は46歳男性,身長178cm,体重90kg.スクリーニング目的に実施した上部消化管内視鏡検査で多発する食道のグリコーゲンアカントーシスを認めた.家族歴には特記すべき事項を認めなかったが,巨頭症(頭囲70.5cm)や病理結果で外毛根鞘腫との診断を得た多発皮膚病変を認めることからCowden症候群/PTEN過誤腫症候群(CS/PHTS)を疑った.既往歴として他院で治療後経過観察中の右椎骨動静脈瘻を有していた.甲状腺超音波検査では両葉に腺腫様結節を認めたが,細胞診で悪性所見は認めず腺腫様甲状腺腫と判断した.診断基準にのっとり,大基準2項目,小基準3項目が該当しCS/PHTSの臨床診断に至った.PTEN遺伝子の遺伝学的検査では次世代シークエンサー(next generation sequencer;NGS)解析でpathogenic variantを低頻度で認め,体細胞モザイクと判断した.