カキ'西条'果実の軟化が著しく早い原因を明らかにするとともに, ポリエチレンフィルムによる長期冷蔵貯蔵の可能性を検討した。
(1) ドライアイス脱渋後のエチレン生成のピーク値は'西条'が'平核無'の10倍の2.2μl/kg・hであった。脱渋後'西条'は9日, '平核無'は26日で全果実が軟化した (20℃下)。
(2) '西条'の炭酸ガス脱渋果とドライアイス脱渋後エチレン吸収剤を封入した果実のエチレン生成のピーク値は, ドライアイス脱渋果の約1/10であり, 果実軟化は, 炭酸ガス脱渋果で2日, エチレン吸収剤封入果で10~15日, ドライアイス脱渋果より遅延した (20℃下)。
(3) 適熟期採取の'西条'果実をドライアイスまたは炭酸ガス脱渋後0.06mmまたは0.08mm厚のPE袋にエチレン吸収剤とともに封入し, 2℃で冷蔵貯蔵すると, 適度な硬さで85日の貯蔵が可能であった。冷蔵貯蔵中の果実内のエタノール含量は入庫後直線的に増加し, アセトアルデヒド含量は入庫後48日以降急増した。ドライアイス脱渋果では果実基部の果肉に褐斑が認められたのに対して, 炭酸ガス脱渋果では全く認められなかった。