主催: 水文・水資源学会
精密な測定が難しいとされる水フラックスについて、算出に必要な不飽和透水係数を観測データからモデルにより推定し、水収支的方法により結果を検証した。まず、対照土層の圧力水頭と土壌水分量の関係から、van Genuchten-Muaremの関係式により土壌水分量と不飽和透水係数の関係を推定した。次に、土壌凍結がほとんど発達しなかった冬の融雪期の観測結果を利用し、水収支的方法により高水分状態の不飽和透水係数を算出した。この値を用いて、モデルから得られた土壌水分量と不飽和透水係数の関係をLucknerの方法により補正した。こうして得られた関係式を用い不飽和透水係数を推定し、動水勾配との積により下層の水フラックスを計算した。夏期の観測データを用いて水収支法により水フラックスを計算し、両者を比較した結果、不飽和透水係数から計算される水フラックスと水収支的方法による水フラックスと比がおよそ2倍以内に収まっていたことが確認された。