抄録
共存植物との水獲得競争がアカマツの水利用様式に影響を及ぼすか否かを明らかにするため、菅平高原のアカマツ林内に種構成が異なる4つの試験区画を設定し、アカマツおよび共存植物種の吸水深度を同位体トレーサー手法によって調べた。また、水ストレスの程度を把握するため、植物水ポテンシャルおよび気孔抵抗を併せて計測した。その結果、アカマツとクマイザサは10-40 cmの深度帯から吸水している一方、ズミは10-20 cmのやや浅層の土壌水を、ヤマナラシは60-80 cmの深層土壌水をそれぞれ利用していることが明らかとなった。しかしながら、アカマツの吸水深度は共存植物種の組み合わせに依存せず、水ストレスもほとんど生じていなかった。したがって、種間競合はアカマツの水利用に影響を及ぼしてはいないが、ヤマナラシやズミはアカマツとの競合が回避できる深度の土壌水を利用することにより、水ストレスを軽減していると言える。