抄録
日本の人工林,特にヒノキ林では,間伐遅れにともなって下層植生が衰退し,表面侵食が発生して林地が荒廃することが指摘されている。これまでにも侵食土砂量を直接測定することにより土壌侵食の評価が行われてきたが,長期的な評価を行った例は少ない。Cs-137による土壌侵食推定値は,ヒノキ 1.06t/ha/y,ヒノキ・シダ 0.84 t/ha/y, 広葉樹 0.72 t/ha/y, スギ 0.55 t/ha/y の順であった。また,計算された土壌侵食量は,splashとの相関は低く,積算せん断応力の増加に対して放射性核種の現存量が減少する傾向が見られた。これらの結果は,調査地ヒノキ林の土壌侵食において,splashによって剥離された土砂が地表流によって流下させられるというプロセスが重要であることを示唆していると考えられる。