抄録
ダムに流入する様々な物質は、ダム湖および下流の水質に大きな影響を与えるが、粒状の有機物について、特に、高水時での量や性質はほとんど調べられていない。このことは、流下有機物の収支を理解する上でも重要であるが、特に、ダムの建設によってどれほど堆積するかを把握することは水質管理上の観点からも大変重要である。このような観点で、2005年から2008年にかけてモニタリングを行った。
出水時流量と流下物の質については一定の関係が確認された。流量が多くなるほどリグニン含有量が多くなり、これは、河川水位が上昇し、平水時には流出せずに長期間堆積したリターが流下したことを示すものであり、溶解性炭水化物含有率は逆に減少している。以上のように、出水時の流下物のダムへの流入は、頻度が少ないものの、貯水池内の水質・低質に対して大きな影響を及ぼしていることが考えられ、その季節特性や成分特性に一定の傾向があることがわかった。