ベトナム北部の上水道水源は、地下水の水量と水質の悪化が懸念され、今後河川水の利用増加が予想されている。これらの利用には、濁度の高い表流水の処理と管理が必要となっている。本研究は、長期的かつ高解像な懸濁物質起源推定のために全球降水量データセットと経験的な土砂生産モデルを用いて、濁度の原因となる紅河流域の土砂生産量分布の算出を行った。その結果、土砂生産は農業地帯において支配的で、紅河流域では地形や降水といった要因ではなく人間活動が大きく作用している地域であった。広大に広がる常緑樹林が大きく生産を抑制する機能を果たしている。相対的に、デルタ域と下流域の農地からの生産が大きく、上流部では小さい。