水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2017年度研究発表会
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【河川・湖沼・地下水】9月21日(木)10:40~12:10
園部川流域における洪水氾濫解析
仲 浩明*田中 茂信*田中 賢治佐山 敬洋
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p. 42-

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抄録

研究では堤防改修や近年増加している局地的集中豪雨を考慮した浸水想定域図作成にむけて,これまでは流域面積の大きな河川に主に用いられてきたRRIモデルを京都府南丹市園部川に適用し2013年の洪水氾濫を再現行い,解析を行った.桂川中流域の右支川園部川流域(流域面積:127 km2)では,2013年と2014年に台風による大雨で氾濫が起きた.2013年には横田地区で堤防から越水が発生,右岸では堤防の機能を有する盛土が決壊した.これにより,横田地区で浸水被害が発生した.その後,決壊した箇所に堤防が引き堤され,順に下流へと堤防が延伸されたが2014年の台風でも同様の地区において越水が起こり,浸水被害が発生した.RRIモデルは,降雨を入力データとして河川流出から洪水氾濫までを一体的に解析するモデルである.入力地形データの作成に当たり,国土地理院の基盤地図情報数値標高モデル(20mメッシュ)を用いた.またそのデータより落水方向・集水面積データを作成した.土地利用は国土数値情報の土地利用細分メッシュデータより農地と都市域と森林に分類した.河道粗度は0.028m-1/3・s とし,河道幅と深さについては,園部川流域内5地点においてまず河道幅と深さを測定しそれをもとに断面積と流域面積の関係式を作成した.氾濫が生じた横田地区に関しては式と大きく川幅がずれている箇所においてはそのセルごとに河道幅と堤防高さを設定した.入力降雨はレーダー・アメダス解析雨量を用いた.2013年の洪水氾濫に関して,河川における水深と浸水範囲で良好な再現結果を確認した後に,同等のパラメータで新たな堤防や仮想降雨の降水量の入力データを用いて解析を行った.比較的大きな流域の河川に用いられていたRRIモデルを中小河川に適用し,園部川領域において横田地区における氾濫をある程度RRIに再現した.改修された堤防により浸水範囲は大幅に減少するが,長期間の雨が降った2013年台風18号とは違い,短期間に集中豪雨が降ると大規模な氾濫が起きる危険性があることが本研究により明らかとなった.昔と現在の堤防や川幅をもう一度測量し,過大評価している箇所に関しては標高データの誤差を修正することで今後解析の精度を高める.

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© 2017 水文・水資源学会
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