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融雪流出解析の不確実性の一つに,山岳域の降雪の時空間分布情報が明らかになっていないという点が挙げられる.融雪流出計算で解析雨量を使用することで,降雪の時空間分布が分かるため,不確実性の一つを減らすことができる.そこで本研究では,三国川ダム上流域を対象として,高精度な融雪流出計算を行うために,気象庁の解析雨量を用いた.しかし,解析雨量には流域周辺の地上降水と差があるといった問題がある.そこで,解析雨量を地上降水を用いることによって補正し,融雪流出計算で使用した.また比較にために,地上降水による補正を行っていない解析雨量を用いることによっても融雪流出計算を行った.結果として,解析雨量を地上降水で補正しない場合の方が,融雪流出計算の精度が高かった.しかし,モデルパラメータの設定や解析雨量の補正の仕方について,十分な検討が必要であることが分かった.