水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2019年度研究発表会
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【流出】
深層学習を用いた仁淀川大渡ダムの流入量の予測
*武田 拓巳中根 英昭端野 典平
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p. 164-

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抄録

仁淀川流域は年平均降水量が約2800㎜という全国有数の多雨地帯に位置し、古くから洪水被害に悩まされてきた。このような特徴を持つ仁淀川の洪水調節を担う多目的ダムが大渡ダムである。洪水調節の目的は、豪雨の際にダムに一定量を貯留することによって、下流での急激な水位の上昇を防ぐことにある。この洪水調節を適切に行うためには、ダム上流の雨量からダムの流入量を予測することが重要である。流入量の予測には、分布型流出モデルやタンクモデル等の流出モデルによる流出解析を用いる方法が一般的である。このような流出モデルの作成時には、流域の標高データから斜面を特定し、流域を分割することで流域内の水循環物理過程を表現する。複雑なモデリングになり、物理パラメータの同定が空間スケールに応じて必要である。本研究では、非線形な関係のモデル化に優れた深層学習を用いて、雨量と流入量の関係をモデル化し、流入量の予測可能性を検討する。本研究では、深層学習の中でも最も単純な構造のニューラルネットワークである多層パーセプトロン(MLP)を用いる。MLPは入力データの特徴を抽出し、出力を行い、教師データとの誤差から中間層の重みを調整する。MLPはこの操作を繰り返すことで2つのデータの関係性を学習するため、本研究ではこれを利用して雨量と流入量の関係をモデリングした。本研究では、入力データとして使用する雨量の時系列データの特徴が、推定モデルに及ぼす影響を比較する。

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© 2019 水文・水資源学会
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