水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2019年度研究発表会
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【流出・水災害(2)】
日本域表面流向マップを活用したRRIモデルの洪水再現性に関する研究
*中村 要介池内 幸司山崎 大近者 敦彦
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p. 30-

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抄録

本研究は2018年に整備された日本域表面流向マップを用い、RRIモデルの与条件となる地形データに活用することで洪水波形の再現性が向上するかを確認した。また、下流に位置する市街地を不浸透域として表現することの効果も合わせて確認している。なお、市街地はJAXA高解像度土地利用土地被覆図(30mメッシュ)を用いた。

対象河川は筑後川水系花月川であり、流域面積は136.1km2、流域の81%を山地が占める典型的な中山間地河川である。対象降雨は平成29年7月九州北部豪雨である。

先行研究で構築したRRIモデルを2017Modelと呼び、日本域表面流向マップで地形モデルを入れ替えたモデルを2018Modelβ、さらに市街地を追加したモデルを2018Modelとする。

各モデルを比較した結果、ピーク付近では共通して過大評価であったが、2018Modelβでは水位上昇中の精度向上が確認でき、2018Modelでは低水部からの立ち上がり部を含めて再現精度が向上している。これは下流域に位置する日田市街地をモデリングしたことによって、洪水初期の早い表面流を表現できるようになった効果と考えられる。また、定量的な評価をするためにNash-Sutcliffe 係数を算出した。2017Modelであっても0.955と高スコアであるが、2018Modelβでは0.976、さらに2018Modelでは0.983とモデリングの高度化に伴いNS係数も向上していることが定量的に証明できた。

また、粒子フィルタによるデータ同化を組み込んで水位予測実験を行った。ここでは水文モデルとしての予測精度を確認するため、6時間先までの予測雨量が完璧に的中できていたと仮定するシナリオで予測実験している。この結果、2017Model+PF(図中のグレー実線)ではモデル精度に由来して観測水位に同化しきれない時刻もあった(例えば7/5 14:00)。一方、2018Model+PF(図中の赤点線)では立ち上がり部から観測水位に同化できるとともに、過大評価していたピークについてもPFで改善できていることがわかる。

日本域表面流向マップを活用することでモデリング時間の短縮や均質なモデリングが期待できるだけでなく、洪水再現性についても向上した。これによって、水位上昇部での予測精度が向上し避難に要するリードタイムを長くできることを示せた。

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