日本集中治療医学会雑誌
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総説
ホスホジエステラーゼIII阻害薬の先行療法 (preemptive therapy)
―その有効性と安全性―
木倉 睦人板垣 大雅佐藤 重仁
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2007 年 14 巻 2 号 p. 151-164

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抄録
ホスホジエステラーゼ (phosphodiesterase, PDE) III阻害薬 (ミルリノン, アムリノン, オルプリノン) は急性心不全の治療薬として注目されている。陽性変力作用と血管拡張作用を併せ持つ特殊性から, カテコラミンや血管拡張薬とは違った観点で投与の用量, 方法, 時期, 有効性や安全性に関する再検討がなされ, 筆者らは先行療法 (preemptive therapy) という新しい治療概念を提唱してきた。PDE III阻害薬の先行療法とは, 心臓血管外科手術においてβ受容体のdownregulation, 炎症反応, 再潅流傷害が生じる前から先行投与を開始し, 体外循環離脱後の循環動態の至適化 (hemodynamic optimization) と酸素需給バランスの適正化を図りながら, 低心拍出量や嫌気性代謝の亢進などのリスクを減らし, 患者の状態をより安全な先行領域 (preemptive zone) へと導く治療である。この治療概念は, 炎症反応や再潅流傷害が生じる大血管の遮断や臓器移植の分野にも応用できると考えられる。また, 安全性の確立のために今後も慎重に知見や検討を重ねていく必要がある。
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© 2007 日本集中治療医学会
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