日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
経時的な神経伝導速度測定により治療効果を評価し得た重症Guillain-Barré症候群の1症例
斎藤 敬太升田 好樹今泉 均名和 由布子岩山 祐司黒田 浩光今井 富裕浅井 康文
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2007 年 14 巻 2 号 p. 203-206

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抄録
病勢の把握が困難な人工呼吸管理中の重症Guillain-Barré症候群において, 経時的な末梢神経伝導速度測定を用いた病勢評価を元に, 人工呼吸管理からの離脱を試みた症例を経験した。症例は54歳, 男性。感冒様症状出現後10日目頃に腹部膨満感のため近医を受診し入院, 翌日より四肢のしびれ, 筋力低下, 呼吸困難が出現したため当院ICUに転院し, 人工呼吸管理となった。髄液検査では蛋白細胞解離が認められ, 第1ICU病日の末梢神経伝導速度測定では, 遠位潜時の延長を伴う振幅の低下と多相性伝導が認められ, 脱髄型Guillain-Barré症候群と診断した。第4ICU病日には伝導速度が測定不能となるほど進行した。合計7回の血漿交換および血漿吸着療法, 大量ステロイド投与の併用により, 第8ICU病日には潜時の短縮および振幅の増大が認められたため, 人工呼吸管理からの離脱を開始し, 第11ICU病日には気管チューブを抜管した。人工呼吸を必要とする重症Guillain-Barré症候群に対する治療効果の判定や臨床経過の客観的評価法として, 経時的な末梢神経伝導速度測定は有用な補助手段の一つとなる可能性が示唆された。
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© 2007 日本集中治療医学会
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