日本集中治療医学会雑誌
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原著
選択的脳分離体外循環を用いた大動脈弓部置換術後の症候性脳障害についての検討
林 浩伸川口 昌彦井上 聡己瓦口 至孝多林 伸起谷口 繁樹平井 勝治古家 仁
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2007 年 14 巻 4 号 p. 571-576

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抄録

目的 : 胸部大動脈瘤手術後の脳障害は未だ重大な合併症であり, その対策が急務である。今回, 我々は低体温併用選択的脳分離体外循環下での大動脈弓部置換術後の症候性脳障害発生とその関連因子について遡及的に検討した。方法 : 対象は低体温併用選択的脳分離体外循環下で大動脈弓部置換術を施行された25症例。術後の症候性脳障害の有無にて2群に分類し, 症候性脳障害発生と関連する術前・術中・術後因子について検討した。結果 : 術後症候性脳障害は6例 (24%) で発生し, うち4例 (16%) は一過性であった。脳障害群では, 術前よりの虚血性心疾患合併率が有意に高かった。また, 脳障害群では術中の最低鼓膜温が有意に低く, 人工心肺時間, 大動脈遮断時間が有意に長かった。フェンタニル総投与量は脳障害群で有意に多かった。結語 : 大動脈弓部置換術後の症候性脳障害は高率に発生し, その関連因子として術前虚血性心疾患, 最低鼓膜温, 人工心肺時間, 大動脈遮断時間, フェンタニル総投与量が認められた。

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© 2007 日本集中治療医学会
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