日本集中治療医学会雑誌
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原著
中心静脈カテーテルの定期入れ替えはカテーテル感染防止に必要ないか?
―改訂CDCガイドラインを検証する―
牧野 有里子端野 琢哉南 和香葉池田 嘉一佐藤 善一山下 智之別役 聡士藤森 貢
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2007 年 14 巻 4 号 p. 577-583

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抄録

【目的】我々は, 2002年にCenters for Disease Control and Prevention (CDC) によって発行された血管内留置カテーテルに関するCDCガイドラインの改訂版に従って, 当ICUの感染予防策を変更した。中心静脈カテーテル (central venous catheter, CVC) に関する主な変更点は, 定期入れ替えの廃止と挿入時の高度無菌遮断予防である。変更前後でのCVC由来の感染および感染以外の合併症の発生率の差を調査した。【対象と方法】感染予防策変更前1年間, および変更後1年間にICUに入室しCVCを挿入された変更前80人 (A群) と変更後73人 (B群) を後向きに調査した。【結果】患者背景に有意差を認めなかった。平均CVC留置期間はB群で有意な長期化が認められた。CVC感染, CVC挿入に伴う合併症を両群1例ずつ認めた。長期間の留置による抜去時の止血困難や, 血栓形成はなかった。【結語】CDCガイドライン2002に沿ったCVCの定期入れ替えの廃止はCVC感染の発生率を上昇させず, 感染以外の合併症の発生率も変化させない。

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© 2007 日本集中治療医学会
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