日本集中治療医学会雑誌
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原著
濾過型人工腎臓用補液使用時の回路内結晶析出について
富田 敏司藤野 裕士内山 昭則平尾 収真下 節
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2008 年 15 巻 2 号 p. 197-204

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抄録
濾過型人工腎臓用補液を24時間ごとに追加し,10 ml·min−1の流速で96時間連続して流した時の回路内の結晶析出,電解質濃度·ガス分析及び不溶性微粒子について調べた。その結果,ローラーポンプ入口には結晶を認めなかったが,出口には結晶を観察した。ローラーポンプの押圧刺激が薬液に加わるとHCO3の分解が促進すると考えられるため,CO32−とCa2+が反応して,出口にCaCO3の結晶を析出させたと考えられる。回路内圧を高くすると結晶析出は減少したが,100 mmHgでは48時間後から結晶が観察され,経過時間と共に増加した。薬液のガス分析結果は,24時間ごとに変化したが,96時間一定範囲内であった。電解質濃度及び不溶性微粒子数も96時間変化なく,通常の薬液が流れていた。しかし,析出した結晶が血液中に入る危険性があるため,濾過型人工腎臓用補液を使用する際の回路は,結晶が析出する前に交換することが推奨される。
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© 2008 日本集中治療医学会
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